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活動履歴
2014 タイ・バンコク大会
概要
1. アジアファッション連合会(AFF)参加国
AFF Japan 一般 財団法人日本ファッション協会(JFA)
AFF China China Fashion Association (CFA)
AFF Korea Korea Fashion Association (KFA)
AFF Singapore Textile Fashion Federation Singapore(TAFF)
AFF Thailand Thai Garment Manufacturers Association(TGMA)
AFF Vietnam Vietnam Textile & Apparel Association (VITAS)
2. AFFについて
ファッションを生活文化全般と広く捉え、加盟国の相互理解のもと、各国の生活文化の向上を図るとともに、ファッションビジネスを活性化させ、アジアのファッションを世界に発信することを目的に2003年12月に日中韓の連合会として発足。その後、2007年にシンガポール、2008年にタイ、2009年にベトナムが加盟し、今年で12年目を迎える。
3. 大会概要
AFF大会は、生活文化向上の啓発、および参加国の相互理解・交流をベースとしたファッションビジネスの活性化を目的に、年に一度、加盟国の持ち回りで開催している。
第11回タイ・バンコク大会は、アセアン最大級のファッション・トレード・フェア「Bangkok International Fashion Fair (BIFF)」、「Bangkok International Leather Fair (BIL)」と会期を合わせ、AFFファッションショーや、AFFセミナーをそれぞれ同会場で実施。国内外から約3万人のファッション関係者が集うBIFFの場を活用し、AFF活動の周知や、グローバルビジネス展開の機会を創出した。
今大会では「Rising Asian Fashion」をテーマに、各国デザイナーが自身のオリジンを意識し、そのエッセンスを現代的に表現したクリエイションを発表するファッションショー、国内外からファッション業界のオピニオンリーダーが講演するシンポジウム、情報交換や人的交流促進を図るレセプション・パーティーを実施。併せて、BIFF会場内にAFFブースを設け、ファッションショーに参加したブランドのコレクションを展示した。
また、産業視察として「LUCKYTEX (Thailand) Public Company Limited」を訪問し、紡績、織布、染色と一貫工程を持つテキスタイル製造の現場を見学。さらに、ファッション市場視察として「サイアム地区」を訪れ、活気あふれるバンコクのファッションの現状を把握した。加えて、「Queen Sirikit Museum of Textile」、「Ananta Samakhom Throne Hall」においてバンコクのファッション文化を見学した。
4. トップ会談
3月12日(水) 13:00~16:30 IMPACT, Jupiter Room 14
アジアファッションの発信については、AFFオフィシャルウェブサイトを最大限に活用し強化を図る。各国事務局は、自国のデザイナーズブランドや素材、ファッションイベント等の情報をより多く掲載するとともに更新頻度を高め、さらなる拡充と活性化に努めることとした。また、今年は、AFF日本が運営する日本のストリートファッション情報を紹介するウェブサイトのシステムをAFFタイに提供しており、希望があれば他のメンバー国も同様に提供するとAFF日本が提案した。
AFFワーキンググループでの取り組みについては、昨年度に引き続き①ビジネスマッチングの強化、②デザイナー支援の2項目の充実に取り組む。
次回の大会は、ベトナムが主催国となり2015年9月にホーチミンで開催予定。
5. プログラム
(1) オープニングセレモニー 3月12日(水)16:30~17:00 IMPACT, Challenger Hall 1-2
各国AFF代表挨拶
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AFF Thailand委員長 AFF Japan委員長 AFF China委員長 AFF Korea委員長 AFF Singapore委員長 AFF Vietnam副委員長 |
Mr. Sukij KONGPIYACHARN 平井 克彦 氏 Mr. Dangqi LI Mr. Dae Yun WON Mr. David WANG Mr. Nguyen Van TUAN |
AFFタイ Sukij KONGPIYACHARN委員長より |
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AFF日本 平井委員長より |
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AFF中国 Dangqi LI委員長より |
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AFF韓国 Dae Yun WON委員長より |
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AFFシンガポール David Wang委員長より |
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AFFベトナム Nguyen Van TUAN委員長より |
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左から ○シンガポール委員長 ○韓国委員長
○日本・平井委員長 ○タイ委員長 ○ベトナム副委員長 ○中国委員長
(2) ファッションショー 3月12日(水)17:00~18:00 IMPACT, Challenger Hall 1-2
加盟各国において将来を嘱望されるデザイナーによる合同ファッションショー。今大会は、「Rising Asia Fashion」をテーマに各国で成長著しいブランドのデザイナーが参加し、自身のコレクション10点を披露するとともに、タイのテキスタイルを用いて制作した1作品を発表した。ファッションショーは、アセアン最大級のトレードフェア「BIFF・BIL」の会場で実施し、世界各国から集まったファッション業界関係者にもアジアンクリエイションの魅力をアピールした。
また、BIFF会場内にAFFコーナーを設け、参加デザイナーのコレクションを展示し、参加デザイナーにグローバルなビジネス展開の機会を提供した。
- ≪参加デザイナー≫
AFF Japan
designer 森川 拓野
Label TaaKK official site
【プロフィール】 文化服装学院卒業後、(株)イッセイミヤケ入社。ISSEY MIYAKE / ISSEY MIYAKE MENパリコレクションの企画デザイン担当を経て独立。2012年 森川デザイン事務所設立、ブランドTaaKKを立ち上げる。2013年TOKYO新人ファッションデザイナー大賞 プロ部門支援デザイナー選出。
【ブランドコンセプト】 形、素材、技術に自身の体験の上に新たな体験を重ねる終わりなき探索をデザインという理念を掲げてスタート。独創的な素材へのアプローチをもとに日常でも成り立つデザインを目指す。
【インスピレーション】 日常の中の少しずれた感覚
【コレクションテーマ】 RealityとUnreality
AFF China
Designer Huizhou Zhao
Label The EACHWAY official site
【プロフィール】 Hubei Institute of Fine ArtsにおいてFashion Designを専攻。卒業後、EACHWAY Fashion Gropeを設立し、チーフデザイナーに就任。中国においてデザイナートップ10に選ばれる。
【コレクションテーマ】 Deep-sea Romanceをテーマに、改革と着心地のバランスを追求し、新しいオリエンタル気質を表現。今回は、自由に水面をただよう魚をイメージするような、クラシックで気品があり、エレガントで慣例にとらわれないフェミニンなクリエイションを発表した。
AFF Korea
Designer Hey Jin Hong
Label the studio K official site
【プロフィール】 ソウル大学卒業後、College of Fine Art Korea、Phode Island School of Design USA、EWHA University Art & Design Koreaへと進み博士号を取得。現在は、Artistmade the studio KのCEO。
【コレクションテーマ】 Sound Wave
【インスピレーション】 自分が着たいものを追求する。音の視覚化
AFF Singapore
Designer Priscilla Shunmugam
Label Ong shunmugam official site
【プロフィール】 LADALLE.SIA College of the Arts卒業。ELOHIME BY SABRINA GOH PTE LTDを設立。2010年にはELLE Award Designer of the yearを受賞。
【コレクションテーマ】 HYBRID / HOMEBRED
【インスピレーション】 プラナカン建築様式、アジアの文化発展、時代によるスタイルの変化、シンガポールのさまざまな要素を含んだ貴重な遺産などを創造源としている。
AFF Thailand
Designer Siriorn Teankaprasith
Label PAINKILLER official site
【プロフィール】 ESMODパリ在学中にPAINKILLERコレクションのファーストシーズンを発表し、ESMOD young designer ベスト10に選ばれる。
【コレクション】 多くのアジア文化に存在する護身やおまじないの意味合いが強いスピリチュアルな入れ墨文字を刺繍にしてコレクションに施した。
AFF Vietnam
Designer Nguyen Quoc Binh
Label Qb quoc binh
【プロフィール】 Vietnam Collection Grand Prixで最年少受賞に選ばれる。ベトナムの伝統衣装に現代性を持たせるデザイナーの先駆けとなる。2000年に自身のブランドQb quoc binhをスタート。
【コレクション名】 汚れのないLotus Lady
【インスピレーション】 知性や精神性が現れるハスの花。純粋で汚れのない自然界と人間の鼓動。シンプルかつ繊細なデザインでアジア女性のイメージを表現。
(3) レセプションディナー 3月12日(水) 19:00~21:00 PREGO, Novotel Impact Hotel
加盟国メンバーが参加し、意見・情報交換等を通して参加者間の交流が行われた。
(4) セミナー3月13日(木) 9:30~16:00 IMPACT, Jupiter room 14
第1部 『アジアにおける消費者の増大と購買力』
- 《講師》
- Dr. Krittinee Nuttavuthisit
- Assistant Professor, Sasin Graduate Institute of Business Administration
《要約》
中国初のラグジュアリーブランド「Shanghai Tang」は、中国の伝統的な美意識を取り入れたライフスタイルブランドとして発足し、香港に第一号店をオープン、その後、スイスのリシュモングループの傘下に入り、世界各国で店舗展開を図っている。アジアブランドのグローバル化は、自国のルーツを探り、ライフスタイルに合ったクリエイションを行い、弱点をも逆手にとる強さを持つことが重要。世界市場でブランド力を高めるには、強い存在感と独自のアイデンティティで改革の流れを作るとともに、マルチな販売チャネルやメディアを獲得することである。最終的には、グローバル化したアジアブランドとしてアジア市場も席巻するというサイクルを作る。
第2部 「世界に広がるアジアの小売業、市場参入する政策」
- 《講師》
-
蓑原 邦明 氏
Leasing Department, General Manager, AEON Mall Co., Ltd.
《要約》
イオンモールは、アセアン諸国における経済成長や自家用車の保有率の伸びに着目し、郊外型大規模ショッピングモール時代の到来を確信。マレーシア進出を皮切りに、ベトナム、カンボジア、インドネシア、ラオス、ミャンマー、ジャカルタと進出計画を打ち出し、アセアン市場での展開を拡大している。経営人の現地化も進め地元のニーズに応えるとともに、多機能トイレの設置やポイントカードの発行など日本ならではの細やかなサービスを加味、さらに娯楽施設を併設し、買い物だけでなく楽しく時間を過ごせる場所として付加価値の高い施設を提供し、新しいライフスタイルを提案する。
第3部 「市場の変化に伴うファッション産業の流通の多様化」
- 《講師》
Mr. Kim Tae Seo
Chief Operating Officer in Charge of Sourcing, Scheduling and Marketing, GS Home
《要約》
景気後退時の消費動向として合理的な支出が進み、ホームショッピングの利用率が上がる傾向がある。現在は、スマートフォンの普及によりモバイルショッピングユーザーが増加、2013年の売上高は約50億ドル、2014年は100億ドルに及ぶと予測されている。韓国オンラインショッピング運営会社大手のGS Home は2013年、自社のオンラインショッピングアプリのダウンロード数が前年比482%と急増した。これまでのオンラインショッピングは、日用消耗品が主流だったが、最近では家電、ファッション製品も一般的に扱われるようになり、ファッション産業との連携が不可欠になった。現在では、デザイナーとのコラボレーションによるブランドの立ち上げや、ドラマやCMで使用されるファッションアイテムをテレビ画面からオンラインで販売する新商業体系を確立し、さらなる充実を図っている。
第4部 「世界市場におけるアジアのオリジナルデザインとブランド」
- 《講師》
Ms. Duang Poshyanonda
Editor in Chief, HARPERS BAZAAR
《要約》
世界で活躍するアジアのデザイナーとそのブランドを紹介。
紹介されたデザイナー/ブランドは以下のとおり。
【日本】 山本耀司/Yohji Yamamoto、 川久保怜/Comme des Garcons、高橋盾/Undercover、 阿部千登勢/SACAI
【中国】 Gao Pei/GAO PEI
【韓国】 Juun J/JUUN.J
【シンガポール】 F J Benjamin/PAOUL、 Kenny Lim, Andrew Loh/DEPRESSION、 Ashley Isham/ASHLEY ISHAM
【タイ】 Somchai Songwattana/FLYNOW、 Pim Sukhahuta/SRETSIS、Koi Suwannagate/Koi Suwannagate、 Thakoon Panichagul/TAKOON
【ベトナム】 Chloe Dao/Chloe Dao
第5部 「旺盛な国内需要により活況を呈する中国のファッション産業」
- 《講師》
Dr. Zhang Qinghui
Doctor, Textile Engineering
Vice President & General Secretary, China Fashion Association
《要約》
中国は、一人っ子政策などによる社会構造の変化や生活水準の向上とともに、ライフスタイルの変化、日常生活に美を求め出したことで、ファッション業界には大きなチャンスが訪れている。2012年、ファッションに対する年間平均支出は、都市部で1823.4元、地方で396.4元、前年度比各8.88%、16.14%の伸びとなった。また、国内ではかつてないのブランド開発時代を迎えており、ブランド数が1900年の2千から、2011年には12万まで増え、2013年の売上総額は1兆8500億元となった。クリエイション力も成長しており、中国文化をインスピレーションソースとしたデザイナーは、ファッション消費を刺激する重要な役割を果たしている。中国のファッション産業は、東洋文化がワールドワイドに浸透している背景も手伝って、世界のファッション市場で重要度を高めてきたといえる。また、アジアは、世界最大のファッション消費市場ではあるものの、現在、アジアの一人当たりの衣料品消費は12.8キロで、世界平均は13.3キロという分析結果があり、いまだ発展段階にある。我々は、アジアファッションを広め、アジアファッションのさらなる消費拡大に努めていく。
第6部 「新技術と革新的な3Dプリンター」
- 《講師》
Ms. Galina Mihaleva
Visiting Assistant Professor, Art, Design and Media, Nanyang Technological University, Singapore
《要約》
技術革新により服飾制作も新たな時代を迎えた。3Dプリント技術は進歩が加速し、まだ市場に出回ってはいないものの着用可能な衣料品を製造するまでに至っている。現在は、性能、着心地、ファッション性の向上が図られている。さらに、使用できる素材のバリエイションについてさらなる研究が続けられており、綿やウールを用いたクリエイションも可能になった。今後、ウェアラブル・テクノロジー市場は、2016年には60億米ドルにまで拡大するだろう。また、電子機能が加わった布地「スマートファブリック」についても、ヘルスケアや宇宙開発など多分野で応用され、2017年までには26億米ドル市場に達すると予測されている。
3Dプリンターで製作した作品 セミナー風景
- 《講師》
(5) AFF大会 関連イベント 見学
「Bangkok International Fashion Fair(BIFF)」・「Bangkok International Leather Fair(BIL)」 見学
3月12日(水)10:00~12:00 IMPACT, Challenger Hall 1-2
各国から出展したブランドや企業、団体のブースに加えて、「AFFブース」や「ジャパン・コネクトエリア」を見学した。
≪BIFF・BIL概要≫
アセアン地域最大のファッション国際見本市。今年は、「STYLE+DESIGN ASEAN」をテーマに700社が1100の出展ブースを設置し、アパレル、ファッションアイテム、テキスタイル、レザー素材や製品を幅広く紹介した。主催は、タイ国商務省国際貿易振興局(DITP)。
今回は、ジャパン・コネクトエリアが作られ、JFWが「JAPAN FASHION WEEK in Bangkok」、繊研新聞社が「ジャパンパビリオン」と称してコーナーを設けた。
また、AFFは、AFFギャラリーを設置し、ファッションショーに参加した6カ国デザイナーのコレクションを展示すると共に商談の機会を提供した。
BIFF 会場内 | |
AFFギャラリー | |
BIFF 出展ブース | |
BIL 出展ブース | |
JWE 「JAPAN FASHION WEEK in Bangkok」コーナー |
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繊研新聞 「ジャパンパビリオン」コーナー |
※ BIFF&BIL詳細、出展ブランド情報は、JFAの「スタイルアリーナ」サイトでもご覧いただけます。
≪BIFF&BIL情報≫
http://www.style-arena.jp/topics/post/20140320/
≪出展ブランド情報≫
http://www.style-arena.jp/topics/post/20140324/
http://www.style-arena.jp/topics/post/20140325/
(6) 産業観光
サイアム地区 3月12日(水) 13:50~15:00
衣食遊に関する多様な商業施設が集結するバンコク最大の繁華街「サイアム地区」を訪れ、タイ財閥のデベロッパーTCC Land Retail Co.,Ltd.の店舗開発運営部長の案内で、最新電子機器や人気の飲食店が出店する同社の複合商業ビル「デジタル・ゲートウェイ」を訪問した。さらに、バンコクの新進デザイナーが続々と出店するファッションビル「サイアム・センター」、ハイエンドブランドを一堂に集めた高級デパート「サイアム・パラゴン」、バンコクのストリートファッションを代表するエリア「サイアム・スクエア」を見学。多くの人が集い、賑わう状況を体感するとともに、トレンドを強く意識する消費傾向や、経済発展に支えられ購買力が上昇している様子を視察した。
併せて、サイアム・センターに特別展示した「AFFデザイナーコレクション展」や「JAPAN FASHION WEEK in Bangkok紹介コーナー」、期間限定でオープンした「JFWポップアップストア」を見学した。
サイアム・スクエア | |
↑ AFFタイが運営するストリートファッションサイトの撮影風景(サイアム・スクエア内のストリートにて) |
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サイアム・センター内に設置したAFFギャラリー |
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サイアム・センター内に設置されたJFW in BKK コーナー |
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サイアム・センター内に設置されたJFW in BKK ポップアップショップ |
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サイアム・センター内 |
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デジタル・ゲートウェイ内の回転寿司レストラン | サイアム・パラゴン |
LUCKYTEX PUBLIC COMPANY LIMITED 3月14日(金) 15:30~16:30
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[LUCKYTEX PUBLIC COMPANY LIMITED プロフィール]
プロダクト : ポリエステル綿混紡織、100%綿、100%ポリエステル、デニム、ポリエステル・スパン織物、ポリエステル・フィラメント織物、産業素材製品(タイヤコード、エアバッグ)
所在地 : Head Office/タイ・バンコク、 M1・M2・M3工場/タイ・サムットプラカーン
設立 : 1960年12月
株主 : 東レ49%、 TTS 2.1%、 一般 48.9%
従業員数 : 2,919名
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バンコクの南約30km、チャオプラヤー川の河口に広がるサムットプラカーン県に位置し、紡績、織布、染色と一貫工程を持つLUCKYTEX社の工場を訪問。繊維事業の拡充を続ける経営方針や、アセアンを面としてとらえグローバルにサプライチェーン・マネージメントを推進する運営体制についてレクチャーを受けた。また、課題についても話が及び、労務問題については、タイの失業率が1%と低いことから離職率が高いため、質の良い労働者確保の重要性や、雇用の現地化に対する取組事例などが語られた。その後、タフタ製織、エアアッグ基布、さらにコットン100%のデニムを生産する第3工場内に進み、オートメーション化が進んだ製造現場を見学した。
(7) ファッション文化視察
Queen Sirikit Museum of Textile 3月14日(金) 9:00~10:00
シリキット王妃が所蔵する衣装が展示される博物館。王室行事や国際行事で着用される衣装、結婚式や宗教行事用の伝統衣装など、王妃が着用した衣装の数々を見学した。
Ananta Samakhom Throne Hall 3月14日(金) 11:00~12:00
2003年にAPECバンコク会議の会場となり、一部が迎賓館としても利用される宮殿。内部に展示さ れている伝統工芸品や芸術品を見学した。
6. 同行記
第11回アジアファッション連合会(AFF)タイ・バンコク大会報告
“アジア発”の深化と新たな方向
AFFウェブサイトの発信力を強化
地域のオリジン(起源)に基づくデザインを
第11回アジアファッション連合会(AFF)タイ・バンコク大会が去る3月12日―14日の3日間、タイ・バンコクで開かれた。日本、韓国、中国、シンガポール、タイ、ベトナムの加盟6カ国の代表が集まり、セレモニー、セミナー、若手デザイナーのショーなど恒例の公式行事の一方、各国代表による会長会談ではAFFの活動、今後の方向性などが話し合われ、AFFウェブサイトを強化することでアジアファッションの世界への発信力を高めるほか、ビジネスマッチングでは加盟各国が行っている各国の展示商談会などのイベントへの参加を希望する場合は、各国のAFF国内委員会がイベント主催者へあっせんし必要に応じて宿泊や通訳の手配などで協力する、などで合意した。
AFFは、2003年12月、東京で日本、韓国、中国3国の各国ファッション協会が窓口になって結成したそれぞれの国内委員会が集まり、生活文化の振興・相互交流・相互理解、アジアファッションの世界への発信、若手デザイナーの育成を目指して発足。その後、加盟国がシンガポール、タイ、ベトナムのアジア全域へと広がってきた。
活動の中心は年1回、各国持ち回りで開く年次大会。今回のバンコク大会に当たって、AFFの実質的なリーダーであり、日本代表団長の平井克彦AFF日本委員会委員長(東レ相談役)は、AFF発足からの10年間におけるアジアの変化について、こうした認識を示す。
「3つの変化が著しい。ひとつは各国に消費をけん引する中間層が育ち市場として有望になってきたこと。二つ目は東京とアジアの主要都市のストリートファッションに変わりがなくなったこと。三つ目はFTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)が進展したことだ」。
アジアの3つの変化を受けて開かれたバンコク大会では、まずAFFの主要目的であるアジアファションの世界への発信では、AFFウェブサイトを強化することで意見が一致した。加盟6カ国は、月に1回はサイトの内容を更新すること、また、検索エンジンを強化する方策をワーキンググループが検討することにした。日本ファッション協会の人気サイト「スタイル・アリーナ」のシステムをタイに提供しているが同時に他国にも提供する意向を表明した。結論には至らなかったがAFFウェブサイトの水準を高めることで世界への発信力を高めるのが狙いだ。
アジアファッションの世界への発信では、2009年ベトナム大会以降、一定の共通認識が生まれている。同大会のセミナーで講演した「まとふ」(堀畑裕之・関口真希子)の「オリジン(起源)に深い敬意と深い関心を支払うべきだ」との主張は、その後時間の経過とともにAFFの共通認識になってきた。ファッションビジネス界の状況は、欧米が発信したトレンドを他国地域が追随しているのが現実だが、そうではなくてアジアのオリジンに基づいた、かつ世界に通用するアジアファッションを、との流れが定着しつつあるように見えることはAFFの10年の成果と言える。
一方、ビジネス促進のためのビジネスマッチングでは、加盟各国のアパレル・デザイナー企業やファッション産業関連団体が他国市場に参入を希望する際、希望先国で開催されている展示商談会やコレクションショーへの参加あっせん、宿泊や通訳の手配などで協力することで一致した。例えば、多くの加盟国の企業が希望する日本市場への参入では、展示商談会への出展希望者があればAFF日本委員会が主催団体にあっせんし、必要に応じて宿泊や通訳を手配することで合意した。
AFF大会とは、直接の関係はないがビジネスマッチングのための展示はバンコク大会と同じ会場で行われたBIFF(バンコク・インターナショナル・ファッション・フェア)」でも実現。同会場で日本アパレルブランドを紹介する「ジャパン・ファッション・ウィーク・イン・バンコク」が開かれたのがそれ。相互に展示商談会への参加で便宜を供与する取り組みはビジネス主体にはなれない団体の場合、有効な方策であることは間違いない。
AFFの目的のひとつである若手デザイナーの育成では、今バンコク大会でも各国1人の若手が最新作で共演した。日本代表の「ターク」(森川拓野)は、オリジナルな刺繍を施した繊細な生地で完成度の高いメンズウエアを披露し、レベルの高さを見せつけたが、こうした若手デザイナーの育成でもAFFでのショー以外でも各国が協力し合うことになった。日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)のコレクションショーへの参加を希望するデザイナーがいれば、AFF日本委員会がJFWにあっせんする、といった具合だ。
若手デザイナーに関しては、今バンコク大会でフィリピン・セブ島のデザイナーグループがAFFへの加盟を打診してきた。審議の結果、AFFの加盟団体は各国を代表する組織であることが望ましいとして、そうではないセブ島グループの加盟についてはタイが再度詳細を調べることになった。
次回、AFF大会は2015年9月にベトナム・ホーチミンで開催されることが決まった。ベトナムでAFF大会は二巡することになる。これを機に基本的な活動領域が見直される方向にある。日中韓3か国がメンバーだった当初の「生活文化」路線から6カ国体制下での「ファッション(アパレル)」路線を見直すか否か、だ。
ファッション・ビジネス・フォーラム 代表 聖生 清重