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活動履歴
2009 ベトナム-ハノイ大会
期 間 : 2009 年11 月20 日(金)~26 日(木)
場 所 : ベトナム ハノイ ・ ホーチミン
参加人数 : 約300名
概 要
1. アジアファッション連合会(AFF)参加国
AFF Japan AFF China AFF Korea AFF Singapore AFF Thailand AFF Vietnam |
財団法人日本ファッション協会(JFA) China Fashion Association (CFA) Korea Fashion Association (KFA) Textile Fashion Federation Singapore(TAFF) Thai Garment Manufacturers Association(TGMA) Vietnam Textile & Apparel Association (VITAS) |
2. AFFについて
ファッションを生活文化全般と広く捉え、加盟国の相互理解の下、アジアにおける生活文化の 向上を図ると共に、相互ファッションビジネスを活性化させ、アジアのファッションを世界に発信 することを目的に2003 年12 月に発足。日中韓、シンガポール、タイに加えベトナムが加盟し、今 年で6 年目を迎える。
3. 大会概要
AFF 大会は、「アジアにおける生活文化向上の波及」および「参加国の相互理解・交流」を目 的とし、加盟国が協力し年に一度、加盟国持ち回りで開催している。
第6 回大会は、ベトナム・ハノイにて開催される第14 回Vietnam International Fashion Fair (VIFF)、第11 回Vietnam Collection Grand Prix の会期に合わせ開催した。AFF 大会のプロ グラムとしては、ベトナム加盟調印式、デザイナーによるファッションショー、セミナーを実施。更 に産業視察としてハノイにて地場産業であるシルク産地ヴァン・フック村を訪ね、ホーチミンでは アマタ工業団地を視察、合わせて団地内の日系企業を訪問し、現状や今後の可能性について 関係者から話を伺った。また、生活文化視察として、ハノイ・ハロン湾の水上生活者の日常風景 を見学、ホーチミンでは農村部を訪れ、特産であるライスペーパー作りの現場を観察した。
4. トップ会談
11 月21 日(土) 14:00~17:30 Daewoo Hotel Lilac Room
相互交流・理解の段階を経て、ビジネス振興へと活動内容を発展させるべく具体策を検討。 第一段階として常設事務局やデザイナークラブの設置、オフィシャルウェブサイト開設などにつ いて話し合われた。常設事務局の設置については、費用負担等の検討事項が多いことから次 回の年次大会開催国となった中国に暫定事務局をAFF 中国のボランティアで設置することにな った。デザイナークラブは、タイが中心となり原案作りを行う。オフィシャルウェブサイトは、ベトナ ムが中心となってサイト構成案および予算見積りを作成することとなった。 更にファッションショーを大会のつど実施することとなった。
次回の大会については、上海万博会期に合わせ、2010 年6 月下旬から7 月上旬の間に中 国・上海にて開催することが決定。
5. プログラム
関連イベント「Vietnam International Fashion Fair」見学
11 月21 日(土) 10:30~11:30 Friendship Cultural Palace ベトナム繊維縫製公団(Vietnam National Textile and Garment Group)およびVietnam Textile and Apparel Association、Vietnam Leather Footwear Association が主催するフ ァッション産業を紹介する国際イベント。ベトナム国内外ファッション関連企業200 社450 ブ ースが出店し、約70,000 人の来場者を誇る。
(出展企業) |
(VIFF 会場) |
ハノイシティーツアー
11 月21 日(土) 14:00~17:00 ハノイ市内
ハノイの歴史が感じられる文化施設、景勝地等(ホアンキエム湖、玉山祠、分廟)の見学
関連行事「第11回 Vietnam Collection Grand Prix」見学
11 月21 日(土) 19:00~21:30 Racing Horse Stadium
繊維縫製公団が管轄するベトナム・ファッション・デザイン院(Fadin)主催のイベント。ベト ナム若手デザイナーの登竜門と位置付けられ、入賞者にはデザイナー育成プログラムが授 与される。日本より審査員としてコシノジュンコ氏が参加。
(客席の様子) |
(受賞式風景 中央:コシノジュンコ審査委員) |
(最終選考作品) |
セミナー
11 月22 日(日) 08:30~12:00 Daewoo Hotel Ballroom
「ワールドクラスのハブ化を目指す“Asian Fashion”」をメインテーマに加盟国および欧米 から招いた専門家、総勢9 名によるセミナーを実施。
各講師は、次世代教育の必要性や、それぞれのオリジンを再認識する重要性を説いた。
また、ファッション産業において生産地としての役割のみならず、ファッションの発信および 中心拠点へと転換を試みる取り組みや、産学連携による新しいネットワークを確立しファッシ ョン業界の活性化を図った事例などが紹介された。
日本からは、ブランド“matohu”のデザイナー堀畑裕之氏、関口真希子氏が出席。日本の 伝統や文化を学びなおし、日本固有の美意識の中で培われてきた技術や技法を改めて取 り入れ現代のファッションで表現することが、西洋の模倣ではない全く新しいクリエイションで あると講演。自分たちにしかできない創造を模索する意義を説いた。アジアファッション連合 会の趣旨と合致する講演内容に、各国の受講者から大変興味深い講演であったとの声が 多く挙がった。
【講演者】
AFF Vietnam
AFF China
France
England
AFF Japan
America
AFF Korea
AFF Singapore
AFF Thailand |
Mr. Truong Anh VU デザイナー、ブランド “The Line By Truong Anh Vu” Ms. Xia HUA President, Eve Enterprise Group 『中国の発信を世界に』 Ms. Francine PAIRON Institute Francais De La Mode 『クリエイティブなアイデンティティを確立するために』 Ms. Valerie BANNISTER Director of Studies, London Center for Fashion Studies 『アジアにおけるファッション教育』 堀畑 裕之 氏、 関口 真希子 氏 デザイナー、ブランド “Matohu” 『新しいファッション文化の創造におけるオリジンの再発見について』 Ms. Leslie Davis BURNS Professor and Chair Design and Human Environment Oregon State University USA 『ファッションデザイン教育における国際的見解』 Ms. Shelly LEE USA branch director, Monte Milano 『グローバル化 米国マーケットで成功する方法』 Mr. David WANG Chairman, Asia Fashion Federation Singapore 『アジアがワールドクラスファッションハブになるために必要な次世代 の教育について』 Ms. Krittinee NUTTAVUTHISIT Assistant Professor of Marketing, Sasin Chulalongkorn University 『世界レベルのファッションセンターになれる方法-タイブランディン グプロジェクトの実態』 |
(日本代表講演者 堀畑氏、関口氏) |
(聴衆者との質疑応答風景) |
(講演者集合写真) |
(セミナー会場内の様子) |
レセプションディナー
11 月22 日(土) 17:30~19:00 Daewoo Hotel Lapaix Room
来賓としてBui Xuan KHUベトナム産業貿易副大臣を迎えスピーチを頂いた。参加者は、 和やかな雰囲気の中、意見・情報交換等により国際交流を行った。
セレモニー
11 月22 日(日) 20:00~21:30 Racing Horse Stadium
来賓挨拶 各国代表挨拶 |
ベトナム副首相 AFF Japan AFF China AFF Korea AFF Singapore AFF Thailand AFF Vietnam |
Mr. Hoang Trung HAI 平井 克彦 氏 Mr. Wang QING Mr. Jongbok KIM Mr. David WANG Mr. Dej PATHANASETHPONG Mr. Le Quoc AN |
平井委員長より |
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■ 新たなメンバーとして、高い経済活力と将来性を有するベトナムを迎える事は、限り 無い喜びである。 ■ 現在、世界経済は、金融危機に端を発する同時不況の中で、依然として深刻な状 況にあるが、その中でもアジアは、いち早く回復の動きが見られる。今後、アジアは 生産拠点としてのみならず、巨大なマーケットとしてもますます高い注目を浴びる存 在になっていく。また、東アジア共同体構想推進への新たな気運が生まれているこ とも、アジアの潜在力と可能性をさらに高めていくことに繋がる。AFF としては、今こ そアジアのファッションや生活文化を世界に向けてさらに強く発信していくチャンス である。 ■ 加盟国の増加、そして、このハノイ大会を契機に、アジアファッション連合会の活動 について更なる充実が図れるよう、努力していきたい。 |
(AFF 大会 セレモニー オープニング風景)
(左:平井委員長)
各国デザイナーファションショー
各国で活躍するデザイナー1名を起用し、それぞれ約15 作品を発表。星形に模られ た大型ステージ上に時代を捉えた様々なファッションが披露され、大会を華やかに彩っ た。日本からは、株式会社Hidenobu Yasui 代表兼デザイナーの保井秀信氏が登場。落 ち着いた趣と斬新な発想とが融合する作品は、各国の参加者を魅了し高い評価を得た。
また、今回は、それぞれ自国のファッションショーの後に各代表者より挨拶があった。
【参加デザイナー】
AFF Japan AFF China
AFF Korea AFFSingapore AFF Thailand AFF Vietnamー |
保井 秀信 氏 “Hidenobu Yasui” デザイナー Ms. LI Xiao Yan Fangfang Fashion Design Co., Ltd. “M-Marvel” デザインディレクター Mr. CHOI BO KO C&Boko, Choiboko Fashion, CEO Mr. Nic Wong Mr. Ek THONGPRASER Mr. Truong Anh VU “The Line” デザイナー |
JAPAN
左:平井克彦委員長 右:デザイナー保井氏 |
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(後方の大画面には、ファッションショーのLive 映像と共に、各国のイメージ画像が映し出された)
CHINA
(左:Wang QING 委員長 右:デザイナーLI XiaoYan 氏)
KOREA
(左:Jongbok KIM 委員長 右:デザイナーCHOI BO KO 氏)
SINGAPORE
左:David WANG 委員長 右:デザイナーNic WONG 氏 |
THAILAND
(左:Dej PATHANASETHPONG 委員長)
(中央:デザイナーEk THONGPRASER 氏)
VIETNAM
(左:Le Quoc AN 委員長 右:デザイナーTruong Anh VU 氏)
ベトナム加盟調印式
セレモニーの最後に調印式が行われ、ベトナムが正式に加盟した。今回は、各国委員 長が大画面をなぞると自身の署名が映し出されるという凝った演出により大会を大いに 盛り上げた。
(日本 平井克彦 委員長) |
(中国 Wang QING 委員長) |
(韓国 Jongbok KIM 委員長) |
(シンガポール David WANG 委員長) |
(タイ Dej PATHANASETHPONG 委員長) |
(ベトナム Le Quoc AN 委員長) |
●産業視察
11 月22 日(日) 14:00~17:00 シルク村 (ハノイ郊外、Ha Tay 省Van Phuc 村) 5 世紀からシルク産業に着手しているベトナム。現在でも質の高い絹織物の産地であり、 村人の約9 割がシルク産業に携わっているハノイ郊外のVan Phuc(ヴァンフック)村を訪問 し、伝統を守り続けている現場を見学した。
(伝統的な手動織機) |
(作業風景) |
企業視察
11 月24 日(火) 14:30~16:30 アマタ工業団地 および YKK VIETNAM CO., LTD.
(ホーチミン)
[アマタ工業団地 プロフィール]
事業形態 :
開発面積 : 入居企業 : |
ベトナム(30%)とタイ(70%)の合弁会社。 ベトナムは国営企業であるソナデジビエンホア株式会社、タイは伊藤忠 タイラ ンドが筆頭株主であるアマタコーポレーションが運営。 700ha (212 万坪) 日本、台湾を中心に東南アジアや欧米より、工業用地に約90 社、 レンタル工 場に約25 社が入居。 |
日系企業では、YKK、花王、ワコールなど約50 社が入居しており、2010 年に は資生堂工場もオープンしアジア向けの製品製造を開始する予定。
ホーチミン市内まで約30 キロの郊外に位置するアマタ工業団地。敷地内は、道幅の広い 舗装道路が長く延び整然としており、現在も更なる拡張工事が進められている。今後は、団 地内にショッピングセンターや住宅、教育機関も新設し、工業団地の枠を超え、生活基盤の 充実をも図る予定とのこと。好立地に加え好条件を備え発展を続ける様子が伺えた。
[YKK VIETNAM CO., LTD. 概要]
敷地面積 : 従業員数 : 雇用状況 : |
58,216 ㎡ 約350 名 従業員約350 人、平均年齢30 才 |
製品の約8 割を欧米に輸出、世界シェアー 30%というアマタ工業団地に入居するYKK ベトナム工場を訪問。製品構造やこれまで開発してきた商品の紹介と共に、同社のグローバ ルな経営体制および世界で展開する地域経営についてレクチャーを受けた。その後、広大 なエリアで精密機器や重機がフル稼働する生産現場を見学。更に隣接する資料室を訪れ、 様々な分野で実用されている商品を手に取り、機能性やデザイン性の豊かさを実感した。 また、成長を続ける半面、近年2 桁代の上昇をみせる労働報酬や充実が求められる福利 厚生といった労務問題についても話が及び、海外進出の難しさも窺えた。
(アマタ工業団地担当者からのレクチャー) |
(YKK 資料室にて製品説明を受ける様子) |
(様々な分野で活躍するYKK 製品見本) |
生活文化視察
11 月23 日(月) 11:00~13:00 ハロン湾 (ハノイ)
ハロン湾にて水上生活者の住居に立ち寄り、生活様式を見学した。
(水上生活者住居) |
(水上マーケット) |
11 月25 日(水) 10:00~10:30 クチ (ホーチミン)
ホーチミン近郊のクチを訪れ、ベトナム特産であるライスペーパー作りの現場を見学。
更にライスペーパーを作っている民家を訪問し、農村部の生活スタイルを観察した。
(乾燥中のライスペーパー) |
(民家内部) |
11 月25 日(水) 14:00~14:30 市場 (ホーチミン)
ホーチミン市内にあるベンタイン市場を訪れ、食料品や生活用品、土産物など様々な商 品が所狭しと並び、活気ある場内を見学した。
(市場内) | |
【ご参加者集合写真】 |
AFF ベトナム・ハノイ大会同行事務局雑感 :
世界の成長センターと言われるアジアの一角にあって、ベトナムは、国中が活気に溢れ、今ま さに開花期を迎えています。国づくりに向けて、新幹線、高速道路、原子力発電など、ビッグ プロジェクトも目白押しです。ベトナムの流行物はと言うと、某紙によれば、①結婚記念の豪華 な写真・ビデオ、②OL向け簡易スパ、③高級バッグと靴・サンダル、④バルコニーのミニ菜園 などで、そこからは所得水準が上がり、生活を楽しむ様子も窺われ、内需の高まりが見てとれます。
日本との関係は極めて良好です。衣料・繊維の対日輸出は、数量、金額ともに着実に増えて おり、中国に次ぐ第2位を占めています。去る10月には日越EPA が、この12月からは日アセ アンEPAが発効し、それらの関税削減効果とドン安傾向とが相まって、日本向けの輸出はさら に増えていくことでしょう。しかし、課題も多いようです。ベトナムの繊維産業は、生地等の素材 を海外から輸入し、労働集約的な縫製をもっぱら担う委託加工(OEM)生産が主体となってい ます。今後、メイド・イン・ベトナムの付加価値向上のためには、素材調達問題への対処ととも に、デザイン等のソフト面を強化し、オリジナリティーを追求していくことが求められるでしょう。
折しもハノイ大会のセミナーでは、“オリジナリィティー”にスポットが当たりました。日本の「まと ふ」の夫婦デザイナーのスピーチが、セミナーの流れをリードして、アジアンファッションの創 造のために、改めて各々のオリジンを再発見しようとのメッセージが参加者の心に訴えました。
伝統・文化に学び直し、それを現代に活かしたアジア的なるものが世界のステージへと大きく 羽ばたいてゆけるか、今後ともあくなき挑戦が続けられることでしょう。
AFFは、アジアの生活文化の向上、ファッション産業の活性化とアジアンファッションの世界 への発信を目的に発足し、今回のハノイ大会で6回目を数えます。関連イベントのファッション ショーでは、日本の保井デザイナーのコレクションも注目を浴びました。また、各国代表者会 議では、ビジネスマッチングWEBサイト、AFFデザイナーズクラブなど、いくつかの提案が寄 せられ、活発な討議が行われました。AFFは、その活動とネットワークをベースに、情報・意見 交換により気づきを与え、ビジネスチャンスの創出、若手デザイナー等の人材育成などにも寄 与しています。将来的にアジア共同体構想の機運も生まれつつある中、このAFFというチャネ ルを通じて、各国の協会活動、ビジネスともに、WIN-WINの関係構築を引き続き模索して いきたいと考えます。
来年は、万国博覧会開催に合わせ、7月前後に中国・上海で大会が開催される予定です。 AFF日本委員会メンバーの多くの方々のご参加を切に願っております。
大会結果掲載紙・サイト
○ 繊研新聞 (平成21 年11 月26 日(木)掲載)
○日本繊維新聞 nissenmedia.com (平成21 年11 月27 日(水)掲載)
○日本繊維新聞 (平成21 年12 月16 日(水)掲載)